なぜ抹茶と緑茶が混同されるのか
海外では日本茶といえば抹茶を思い浮かべる人が多くなります。実態とは少しずれています。
日本国内の実態
日本国内での消費は煎茶が中心です。抹茶はその一部にすぎません。
日常的に飲まれているのは急須で淹れる煎茶やほうじ茶、あるいはペットボトルのお茶です。抹茶を毎日点てる家庭は多くありません。
伝わり方の偏り
海外に伝わったイメージは、茶道を通じたものが中心でした。
作法があり、道具があり、粉を点てる。この光景が「日本の茶」として印象づけられました。実際には特別な場面の飲み方ですが、そこだけが強く伝わったわけです。
抹茶は「緑茶の一種」
分類としては、抹茶も緑茶に含まれます。発酵させずに作る茶だからです。
煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶、抹茶。すべて同じ茶の木の葉から作られ、いずれも green tea の範囲に入ります。
混同が起きるのは、抹茶が緑茶を代表するものとして受け取られているためです。
飲み方が根本的に違う
同じ緑茶でも、抹茶とそれ以外では口に入るものが違います。
煎茶は茶葉を湯に浸し、溶け出した液体だけを飲みます。葉は捨てます。
抹茶は葉を挽いた粉をそのまま溶かします。水に溶けにくい成分も含めて摂ることになります。日本食品標準成分表で抹茶100gあたりの食物繊維が38.5g、ビタミンKが2,900μgと大きいのは、そういう飲み方だからです。
製法も違う
抹茶の原料である碾茶は、覆いをかけて日光を遮って育てます。うま味成分のテアニンが渋みのカテキンに変わるのを防ぐためです。
さらに、揉まずに乾かし、葉脈と茎を取り除いてから石臼で挽きます。煎茶とは工程が分かれます。
混同が生む実害
「matcha」として売られているものの中に、覆下栽培を経ていない粉末緑茶が混じることがあります。
抹茶の定義が国際的に統一されていないため、表示だけでは判断しにくい状況です。緑の粉であれば matcha と呼べてしまう、という緩さが残っています。
