茶の文化のなかでグリーンティーはどこに位置するか
日本の茶には、性格の違ういくつかの層があります。
儀礼としての茶
茶道で点てる抹茶です。作法があり、道具があり、季節や場に応じた設えがあります。
飲むこと自体より、その場を整えることに意味が置かれます。使われるのは無糖の抹茶で、和菓子と組み合わせて苦みと甘みを補い合わせます。
日常の茶
急須で淹れる煎茶やほうじ茶、番茶です。食事とともに、あるいは仕事の合間に飲まれます。
作法はなく、無糖で、繰り返し飲めるものとして扱われます。
嗜好品としての茶
加糖グリーンティーはここに入ります。
甘みがあり、単体で完結し、水がわりには向きません。日常の茶というより、間食に近い位置づけです。
三つの層は競合しない
同じ茶の葉から作られていても、用途が違うため置き換えの関係にはなりません。
茶道の抹茶が甘くならないのは、甘くする必要がないからです。日常の煎茶が甘くならないのも同じ理由です。加糖グリーンティーは、そのどちらでもない場所に生まれました。
手軽さという系譜
抹茶を手軽にしたいという発想は、1930年に宇治抹茶とグラニュー糖を合わせた粉末が真空缶詰で売り出された時点で形になっています。
茶筅も作法も要らず、混ぜるだけで飲める。この方向は、ティーバッグやペットボトルのお茶と同じ流れの上にあります。
手軽さと引き換えに
決まった甘さで固定される、というのが代償です。
一方で、粉末である以上、濃さは自分で決められます。缶やペットボトルにはない自由度で、この点では日常の茶に近い性質も持っています。
位置づけを混同しない
「グリーンティーは本格的な抹茶ではない」という言い方は、正しくもあり、的外れでもあります。
もともと別のものとして作られたからです。茶道の抹茶と比べるのではなく、甘い飲み物として何を求めるかで判断するほうが実態に合います。
