昭和の家庭でのグリーンティー ― 給茶器や家庭の風景からたどる懐かしさ
グリーンティーというと、現代ではカフェのアレンジドリンクや家庭用粉末飲料として認識されることが多いですが、その原点には昭和時代の家庭での日常的な利用があります。当時の暮らしの中で、グリーンティーはどのように使われ、親しまれてきたのでしょうか。ここでは、昭和の家庭や公共施設で見られたグリーンティーの姿を振り返ります。
1. 夏場の家庭定番ドリンクとしての地位
- 昭和中期から後期にかけて、冷蔵庫の普及に伴い、冷たいグリーンティーを家庭で手軽に楽しむ習慣が広まりました。
- 粉末を水に溶かすだけでできるため、子どもでも自分で作れる夏の定番飲料として人気を博しました。
- 甘みがあることから、おやつタイムのお供や、学校帰りのちょっとした楽しみとして飲まれていました。
2. 給茶器で提供される「甘いお茶」
- 駅、病院、役所、スーパーなどの公共施設や職場に設置された給茶機(給茶器)でも、グリーンティーは広く利用されていました。
- 「煎茶・ウーロン茶・グリーンティー(加糖)」といったボタンが並び、誰もが気軽に選べるドリンクとして定番化していました。
- 特にグリーンティーは、ちょっと甘いものが欲しいときに選ばれるボタンであり、男女問わず支持されていました。
3. 来客時のちょっとした心遣いとして
- 夏の来客時には、グラスに氷を入れてグリーンティーをさっと作り、清涼感のあるおもてなしとして提供されることも多くありました。
- これは、冷蔵庫にペットボトル飲料が常備されるようになる前の、家庭ならではのもてなし文化とも言えます。
- 「急須でいれるお茶よりも、甘くて涼しい飲み物」として、気取らず出せる定番でした。
4. 子どもの味覚に合わせた飲み物
- 緑茶やほうじ茶と違い、グリーンティーは苦味がなく、ほんのり甘いことから子どもに好まれた飲み物でした。
- 夏休みに祖父母の家で出された記憶を持つ人も多く、「懐かしの味」として記憶に残っている飲み物のひとつです。
- 粉末をスプーンですくってコップに入れる工程もまた、子どもにとって楽しい体験だったとも言われています。
5. 町の喫茶店でも登場
- 昭和の喫茶店や甘味処では、「冷やし抹茶」としてグリーンティーを提供している店もありました。
- 氷をたっぷり浮かべたグリーンティーに、時にはあんみつや和菓子を添えて提供するスタイルも。
- カフェ文化が一般的でなかった時代、日本独自の甘味飲料として静かに定着していった背景があります。
まとめ
昭和の家庭や公共施設で親しまれたグリーンティーは、手軽さ・甘さ・涼しさの三拍子が揃った飲み物として、多くの人々の記憶に残っています。給茶器や家庭でのグラス提供といった具体的な利用シーンは、当時の暮らしを象徴する一コマでもあります。現在の洗練されたカフェ文化とはまた異なる、**素朴で懐かしい「家庭のグリーンティー」**の姿を知ることで、より深くこの飲み物の魅力を感じられるでしょう。