抹茶が渋くない理由はカテキンにある
お茶を飲んで感じる渋みは、カテキンによるものです。ポリフェノールの一種で、茶葉の乾物重量のうち8〜20%を占めます。
ただ、抹茶をベースにした加糖グリーンティーを飲んで「渋い」と感じることはあまりありません。同じ茶の葉から作られているのに、なぜ味わいがこれほど違うのか。答えは畑にあります。
カテキンは1種類ではない
カテキンと呼ばれる成分は、実際には複数の物質の総称です。緑茶の抽出液に含まれる割合は、おおよそ次のようになります。
| 種類 | 割合 |
|---|---|
| エピガロカテキンガレート(EGCG) | 約59% |
| エピガロカテキン(EGC) | 約19% |
| エピカテキンガレート(ECG) | 約14% |
| エピカテキン(EC) | 約6% |
最も多いEGCGは、渋みが強い部類に入ります。カテキンの総量だけでなく、この内訳も味を左右します。
日光がカテキンを増やす
ここが抹茶を理解する鍵になります。
茶のうま味は、テアニンというアミノ酸によるものです。テアニンは根で作られ、葉へ運ばれます。ところが葉が日光を浴びると、テアニンは渋みのあるカテキンへと変化します。
つまりカテキンとテアニンは無関係な別々の成分ではなく、日光を挟んでつながっています。日に当てれば渋くなり、遮ればうま味が残る。
覆いをかけて育てる
この性質を利用したのが覆下栽培(おおいしたさいばい)です。新芽の時期に茶園へ覆いをかけ、日光を遮って育てます。テアニンがカテキンに変わるのを抑えるため、うま味の多い茶葉になります。
京都・宇治では、この覆下栽培で碾茶(てんちゃ)と玉露が作られてきました。4月から5月にかけては、覆いによって茶樹の姿が見えなくなるほどです。
碾茶は、覆下栽培で育てた新芽を蒸し、揉まずに乾燥させ、茎や葉脈を取り除いたもの。これを石臼で挽いた粉末が抹茶です。
抹茶が穏やかな味わいなのは、加工の工夫というより、育てる段階で渋みの元を増やさないようにしているからです。
加糖タイプでさらに和らぐ
市販のグリーンティーには、抹茶に糖類を合わせたものが多くあります。糖の甘みは渋みの感じ方を抑えるため、抹茶そのものより飲みやすくなります。
製品による差は大きく、それは原材料表示を見ると分かります。表示は使用量の多い順に並べる決まりなので、抹茶が先か糖類が先かで味の方向はおおよそ見当がつきます。デキストリンや香料が入るものもあれば、抹茶と砂糖だけのものもあります。
濃さは自分で決められる
粉末タイプの利点は、濃度を調整できることです。
- 水で冷たく:水150mlに対して20g
- お湯で温かく:お湯150mlに対して20g
- 牛乳で抹茶ラテ:牛乳150mlに対して18g
渋みが気になるなら粉を控えめに、抹茶らしさを求めるなら多めに。同じ製品でも印象が変わります。牛乳で割ると乳脂肪が渋みを包むため、いちばん穏やかになります。
飲むときに気をつけたいこと
抹茶は茶葉を丸ごと粉にしたものなので、湯に浸して成分を引き出すお茶とは、口に入るものが異なります。日本食品標準成分表によれば、抹茶100gあたりビタミンKが2900μg、葉酸が1200μg含まれます。加糖タイプは糖類との配合になるため数値がそのまま当てはまるわけではありませんが、茶葉由来の成分をそのまま口にする飲み方であることは変わりません。
服用中の薬がある方は、医師や薬剤師に相談してから習慣にすると安心です。
