抹茶の鮮やかな緑はどこから来るのか
抹茶の緑は、煎茶を淹れた液体より濃く見えます。同じ茶の葉から作られているのに、なぜここまで差が出るのか。
色の正体はクロロフィル
葉の緑は、クロロフィル(葉緑素)という色素によるものです。植物が光合成に使うもので、茶葉にも当然含まれています。
煎茶は茶葉を湯に浸して成分を引き出し、葉そのものは捨てます。液体に溶け出す色素は限られるため、色は淡くなります。
抹茶は葉を粉にして、そのまま水や湯に混ぜます。クロロフィルを含んだ粒子が液体の中に散らばるため、色が濃く見えます。厳密には溶けているのではなく、細かい粒子が浮いている状態です。
日光を遮ると緑が濃くなる
覆下栽培(おおいしたさいばい)では、新芽の時期に茶園へ覆いをかけて日光を遮ります。うま味成分のテアニンが日光で渋みのカテキンに変わるのを防ぐのが主な目的ですが、色にも影響します。
光が少ない環境では、植物は限られた光を効率よく使おうとしてクロロフィルを増やします。結果として、覆いをかけて育てた葉は濃い緑になります。
京都・宇治で碾茶(てんちゃ/抹茶の原料)や玉露が作られてきたのは、この技術が受け継がれてきたためです。4月から5月にかけては、覆いによって茶樹の姿が見えなくなります。
つまり抹茶の色の濃さは、品種だけの話ではなく育て方の結果でもあります。
色は時間とともに変わる
クロロフィルは光・熱・空気に弱く、時間が経つと分解して黄色や褐色に近づきます。開封した抹茶が少しずつくすんで見えるのはこのためです。
粉末は葉のままより表面積が大きいぶん、変化が早く進みます。保存で意識したいのは次の3点です。
- 光を避ける(遮光できる容器に入れる、袋なら箱にしまう)
- 温度を上げない(直射日光やコンロの近くを避ける)
- 空気に触れさせない(開けたらしっかり閉じる)
色が変わったからといってすぐに問題があるわけではありませんが、色は鮮度の目安になります。
加糖タイプの見え方
抹茶に糖類を合わせた加糖グリーンティーは、糖の分だけ抹茶の比率が下がるため、抹茶そのものより淡い緑になります。
同じ「グリーンティー」でも製品ごとに色が違うのは、抹茶の比率と抹茶そのものの質の両方が効いているためです。着色料を使う製品もあるので、色の濃さだけで中身は判断できません。何によってその色になっているのかは、原材料表示を見ると分かります。
